真空でできること

沸点が下がる

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沸点が下がると何ができるのですか?

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沸点が下がることで、常温でも水が気体になります。
この現象を利用して、乾燥を行うことができます。

エベレスト山頂の沸点は?

圧力が低くなると沸点が低くなります。富士山の山頂での水の沸点は87℃程度になります。エベレスト山頂では水の沸点は71℃程度になります。どうして沸点が低くなるのでしょうか?

沸点が低くなる原因は圧力です。圧力が高い状態というのは気体分子がたくさんある状態です。水の分子は液体から気体になりたいが、たくさんの気体分子に邪魔されて気体になれないのです。
一方で圧力が低い状態の場合というのは気体分子が少ない状態です。水の分子は液体から気体になる際に、邪魔する気体分子が少なくなります。
圧力が低くなると沸点が低くなります。一方で圧力が高くなると沸点が高くなります。圧力鍋は圧力を高くすることで、水の沸点を上げ、100℃以上の高温で調理が行えるという事になります。

水の蒸気圧線図を下記に示します。1気圧の状態では水は0℃で固体から液体になり、100℃で液体から気体になります。圧力を下げていくとどうなるのでしょうか? 圧力を下げていくと固体から液体になる温度、液体から気体になる温度が下がってきます。圧力をどんどん下げていくと、0.006気圧以下では固体から液体にならずに固体から気体になります。固体から気体になる現象を昇華と言います。

水の蒸気圧線図

常温で水が沸騰する

改めて…水は液体です。0℃以下になると氷という固体になり、100℃を超えると水蒸気(気体)になります。ただし、これは圧力が1気圧の状態での場合です。
低い圧力の場合には沸点が下がります。0.1気圧(10,000Pa)の時の水の沸点は約40℃、0.01気圧(1,000Pa)の時の水の沸点は約7℃になります。

では、水を真空にするとどうなりますでしょうか? 圧力が下がると沸点が低くなるので、水は沸騰し、液体から気体になります。実は液体から気体になる際に熱を奪います。水は熱を奪われて、温度がどんどん低くなります。そしてあるポイントで液体から固体…すなわち氷になります。

沸騰していた水が氷になるのはちょっと不思議な現象です。機会があれば動画でも紹介していきたいですが、「水 真空 沸騰」で検索していただければ、この不思議な現状を確認していただけます。

乾燥ができる

インスタントコーヒーは真空を使って乾燥させています。
通常のドリップコーヒーの作り方でコーヒー液を作り、このコーヒー液を凍結させます。凍結させたコーヒー液を真空容器に入れて、真空状態のまま加熱します。するとコーヒー液の水分が昇華します。残ったものがインスタントコーヒーの粉になります。低温で乾燥させるので、風味を損なうことがありません。

凍結乾燥したインスタントコーヒー

フリーズドライ食品はご存じと思います、乾燥されたイチゴやバナナ、パイナップルなどがあります。フリーズドライ食品の製造方法は、食品を凍結させた後に、真空中で食品を加熱します。加熱することによって、食品の中に氷となっていた水分が、水蒸気として食品の外に抜けていきます。このことにより、食品が乾燥できるわけです。

1気圧の状況だと100℃まで加熱しなければなりませんが、真空中だと加熱する温度が100℃以下になります。低温で乾燥させることができるので、風味が損なわれることなく、高温だと変性してしまうビタミンも変性せずに乾燥することができます。
フリーズドライは食品以外にも医薬品を製造するときに用いられてます。

おまけ:冷やすことができる

圧力を下げると沸点が下がります。水が液体の状態から水蒸気になる際に熱を奪います。これを気化熱と言います。野菜の鮮度をためつためには冷却が必要です。取れたての野菜を冷蔵庫に入れても良いのですが、一気に冷やす方法として、野菜を真空にする方法があります。真空にすることで、沸点が下がり、水が水蒸気になります。水蒸気になる際に野菜から熱を奪います。これによって野菜を芯からしっかりと冷やすことができます。