真空計も真空ポンプと同様に、いろいろな種類があって、どれを使って良いのか悩んでしまいます。
そうですね。真空計も真空ポンプと同様にいろいろな種類があります。真空計のそれぞれの特徴を理解して頂ければ、どの真空計を選定したらわかります。
真空ポンプで真空を作り、どれくらいの圧力になったのかを確認するのが真空計です。真空計は測定原理でいくつかの種類に分けられます。最適な真空計を選ぶためには真空計の原理・利点・欠点を知る必要がります。
用途や目的によって最適な真空計を選定する必要があります。
真空計の選定
真空計も真空ポンプと同様に測定する圧力領域ごとで真空計を使い分ける必要があります。また、真空計は計測器なので、測定精度にも気を付ける必要があります。
低真空から中真空の領域を測定する真空計、高真空以降で使用する真空計の2種類に大別できます。
圧力は気体分子がモノを押す力と解説しましたが、モノを押す力と気体分子の数は比例関係にあります。気体分子が多いという事はモノを押す力が大きくなり、気体分子が少ないとモノを押す力が小さくなります。
真空計は気体分子がモノを押す力を計測する機器と気体分子の数を計測する機器、そして気体分子が奪った熱量を計測する機器の3種類に大別できます。
測定精度
計測機器なので測定精度が重要です。真空計が表示している圧力が実際の圧力と同じが一番の理想ですが、表示している圧力が必ずしも一致するとは言えません。
そこで重要なのが測定精度になります。測定精度は±〇〇%で表記されることが多いです。これは、表示している圧力の+〇〇%~-〇〇%の間に実際の圧力という事です。具体的に説明すると真空計の測定精度が±10%で表示している圧力が100Paだった場合、実際の圧力が90Pa~110Paの間にあるという事になります。
測定精度が良ければ真空容器内の正しい圧力がわかりますが、用途によっては精度を求めない場合もあります。精度の良い真空計は一般的に高価です。用途によって真空計の使い分けが必要です。
測定する気体分子による圧力の違い
気体分子の個数を計測する真空計、気体分子が奪った熱量を計測する真空計の場合、測定する気体分子によって表示する値が変わります。
気体分子の個数を計測する真空計は気体分子に熱電子を衝突させてイオン化を行います。イオン化させた気体分子はプラスの性質を持っています。このプラスの性質をもったイオンを電極に集めると、電気が流れます。この電気が流れた量から圧力を計算しています。
熱電子を気体分子に衝突させた際にすべての気体分子がイオン化すれば良いのですが、気体分子の種類毎でイオン化しやすい/イオン化しにくいがあります。このため、気体分子のガスの組成が変わると表示する圧力が変わります。
気体分子が奪った熱量を計測する真空計も同様に気体分子毎で奪う熱量が異なります。真空装置で良くアルゴンガスが用いられますが、アルゴンガスが熱を奪いにくい気体として知られています。その為にアルゴンガスを測定する場合には実際の圧力よりも低く表示されることがあります。
特徴を理解しましょう
各真空計の特徴を理解すると、どの用途でどの真空計を使えば良いかわかります。この章では各真空計の特徴の説明と使用上の留意点などについて解説します。
下記に主な真空計の種類、測定圧力範囲と測定原理を記載します。