真空でできること

放電ができる/絶縁ができる

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放電ができるとはどういうことですか?

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大気中でも高い電圧を引火すれば放電することができます。
しかし、真空の場合、大気圧で印加するよりも低い電圧で放電することができます。つまり、大気圧よりも放電しやすいという事です。

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放電できると何ができるのですか?

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実はこの放電しやすいという現象を目的として真空が良く使われます。

真空中で放電しやすいわけ

大気圧でも放電はできます。雷も放電現象や冬場の静電気の「パチッ」も放電現象です。雷は数千ボルトから1億ボルト、静電気の「パチッ」は3000ボルト程度です。この数千ボルトから1億ボルトや3000ボルトというのは電位差になります。雷の場合には地表と上空との電位差であり、静電気の「パチッ」の場合は人の体と触ろうとする金属との電位差になります。

実は真空中の場合には、条件によっては100V程度の電位差で火花放電が発生します。火花放電は電界で加速された電子が気体分子に衝突し、気体を電離させることによって発生します。気体分子が少ない(つまり圧力が低い)と衝突が起こりにくくなります。気体分子が多い(つまり圧力が高い)と電子が十分に加速されない状態で気体分子と衝突することとなり、気体分子が電離しません。

平行な電極間で火花放電の生じる電圧V を示したのがパッシェンの法則です。パッシェンの法則とは圧力と電極間の距離の積と火花電圧に関する実験則です。「圧力と電極間の積」を小さくしていくと、放電電圧は極小値を取った後に急激に増加します。電極間の距離を一定とすると圧力が低くなるにつれて放電電圧が下がり、極小値を取った後に急激に増加します。

パッシェンの法則

真空中で絶縁できるわけ

上記のパッシェンの法則を見て頂ければわかりますが、電極間の距離を一定とした場合、圧力が下がると火花電圧は極小値を取った後に火花電圧は急激に上昇に転じます。つまり、放電をさせるためには 高電圧を印加しなくてはなりません。そして、いくら高電圧を印加しても電流が流れない…つまり絶縁ができるという事になります。

真空中ではある条件では放電がしやすくなりますが、ある条件を超えてしまうと絶縁ができるという事です。

活用事例

放電ができることにより、真空中でプラズマが発生します。このプラズマを利用して薄い膜…薄膜(はくまく)を形成することが可能です。この薄膜を形成する方法をスパッタリングと言います。実はスマートフォンのディスプレイ、パソコンのCPUやメモリ、DVDやBlu-ray Diskなどを作る上で欠かせない技術となっています。

一方で絶縁ができることを利用して大電力の絶縁を行うための真空遮断機(VCP)というものがあります。