真空の基礎

真空の定義

「真空」という語句から皆さんは何を想像しますか?

日本産業規格(旧日本工業規格 通称JIS)では「真空とは、通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態で、圧力そのものではない」と定義しています。

真空のイメージってどんな状態

多分、大勢の方は「何もない空間」を想像すると思います。実際に辞書で「真空」を調べると「何もない空間」と書かれていることが多いです。

または、「真空」という語句から「宇宙」を想像する方もいると思います。私たちの周りには空気があり、高度が高くなると空気は薄くなります。地表の空気の量を100%とすると、富士山の山頂の空気の量は約60%、エベレストの山頂の空気の量は約30%になります。そして、どんどん高度が上がり、宇宙空間になると空気は0%になる。そんな想像をする方もいるかと思います。

高度と気圧

真空とは圧力の状態を表している

改めて「真空」とはなにでしょうか? 一般的には「何もない空間」ですが、日本産業規格では「真空とは、通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態で、圧力そのものではない」と定義されています。

先程までは、「何もない空間」や「空気がない空間」を「真空」としていましたが、「圧力」という語句が出てきました。「真空」とは「圧力」の状態を示していたのです。大気圧とは私たちが生活している環境のことを指します。大気圧は数値に置き換えると1気圧です。この1気圧よりも低い圧力の気体で満たされた空間内の状態を真空と呼びます。

空気とは私たちが生活している環境では1気圧という圧力ですが、高度が高くなると、空気が薄くなる…すなわち、1気圧よりも低い圧力になるということです。高度が高くなると空気が薄くなり、富士山の山頂では0.6気圧程度、エベレストの山頂では0.3気圧程度になります。さらに高度をあげて宇宙になると空気がないので0気圧ということになります。

高度が高くなると空気は薄くなる。つまり気圧が低くなる。

富士山の山頂やエベレストの山頂、あるいは宇宙空間は密閉されていないので「真空」なのか?という疑問が出てきますが、日本産業規格の定義上では「真空」とは言えません。ただし、極端に圧力が低い状態である宇宙は一般的に「真空」と言ってもよいでしょう。

まとめ

一般的には「何もない空間」や「宇宙」を想像しますが、日本産業規格では「真空とは、通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態で、圧力そのものではない」を真空と言います。