圧力の単位は[Pa(パスカル)]です。
1m×1mに約0.10197kgfが加わっている状態を1Paといいます。
1気圧は何Pa?
今までの説明で、私たちの生活している環境は大気圧あるいは1気圧と解説していました。実は1気圧も圧力の単位です。
長さの単位でもm(メートル)のほかにも、日本の場合だと里(り)、町(ちょう)、間(けん)、尺(しゃく)、寸(すん)があり、欧米圏で使用されるマイル、ヤード、フィート、インチなどがあり、圧力もいろいろな単位があります。国際的にSI単位系を使うことが推奨されているので、本サイトではSI単位系のPaを使用します。
1気圧は約100,000Paです。空気が薄くなる・気体分子の数が少なくなるというのは、圧力が低くなるという事なので、100,000Paという値が小さくなることです。
では、恒例の…富士山の山頂は0.6気圧なので約60,000Paになります。エベレスト山頂は訳30,000Paになります。
1気圧は約100,000Paです。
いろいろな圧力の単位
圧力の単位は気圧、Pa以外にTorr、kgf/cm2があります。下記が圧力の換算表になります。
Pa(N/m2) | Torr(mmHg) | 気圧(bar) | kg/cm2 | |
Pa | 1 | 7.50×10-2 | 10-5 | 1.02×10-5 |
Torr | 133.32 | 1 | 1.33×10–3 | 1.36×10-3 |
気圧 | 105 | 750.06 | 1 | 1.02 |
kg/cm2 | 9.81×104 | 735.56 | 0.98 | 1 |
日本でも20年~30年前まではTorrが主流でしたが、SI単位系が使われるようになって、TorrからPaに変わりました。上記の換算表にもありますが、1Torr=133Paと覚えてください。
圧力の単位のPa(パスカル)はパスカルの原理(流体の平衡についての理論)提唱したブレーズ・パスカルにちなんだものです。Torr(トール)もトリチェリの真空でで有名なエヴァンジェリスタ・トリチェリにちなんだものです。
パスカルの原理
「密閉容器中の流体は、その容器の形に関係なく、ある一点に受けた単位面積当りの圧力をそのままの強さで、流体の他のすべての部分に伝える。」という流体静力学における基本原理になります。
つまり、密閉容器内においてはどこの場所でも同じ圧力という事になります。
トリチェリの真空
1m程度のガラス管(片方は開放、もう片方は封止)を水銀の中に沈めて、ガラス管内部を水銀で満たした状態で、封止した方を上にするようにガラス管を立てると水銀の高さは760mになり、残りの空間は真空になることを発見しました。
下の図は大気圧となっていますが、0.5気圧(約50,000Pa)の時には380mmになります。Torrは水銀柱(すいぎんちゅう)と言われたり、mmHgともいわれます。
1Paってどれくらいの力なの?
1m×1mに1Nが加わっているのが1Paです。つまり、1Pa=1N/m2という事になります。ここで新しい単位N[ニュートン]が出てきました。Nは力の単位で1N=約0.10197kgfです。1Pa=1N/m2=0.1019kgf/m2という事になります。1m×1mに約0.1kg(約100g)が加わっているのが1Paになります。
1Paとは1m×1mの面積に100gが加わっている状態です。
絶対圧力、ゲージ圧の違い
圧力は気体分子がものを押す力という事を真空の考え方で解説しました。気体分子が何もない空間はものを押すための気体分子がないので0Paになります。0Paの状態から徐々に気体分子が増えていき、1Lの容積の中に2.6875×1022個になると101,325Paになります。この何もない状態を0Paとするのが絶対圧力になります。
一方で1気圧の状態を0Paと表示する方法もあります。この表示方法をゲージ圧と言います。1気圧の状態が0Paなので、圧力が低くなるとマイナス表示になります。ゲージ圧の場合の下限値は-1気圧や-101,325Paが下限となります。
表示されている圧力がゲージ圧なのか、絶対圧力なのか明確にしましょう。真空屋は基本的には絶対圧力で話をします。なんとなく話がかみ合わないと思ったら、「それは絶対圧力ですか?」って聞いてみましょう。十中八九「はい!!」といい返事があると思います。
大気圧は101,325Paなのか?
大気圧は約100,000Paと説明しましたが、教科書やネットでは1気圧は101,325Paと書かれていることが多いです。では大気圧=1気圧=101,325Paでしょうか?
実は大気圧≒1気圧=101,325Paなんです。大気圧は1気圧とほぼ同じと考えて良いのですが実は微妙に異なります。天気図を見て頂くと、〇〇〇〇hPaという値が書いてあります。hはヘクトと読みます。h[ヘクト]は100倍という意味です。〇〇〇〇hPaは〇〇〇〇の100倍という事なので、〇〇〇〇00Paという事です。場所毎で圧力が異なっているのがわかると思います。高気圧の場所、低気圧の場所で圧力は異なります。台風の中心になるともっと圧力が低くなります。次に標高です。標高が高いと圧力は低くなります。この2つの要因により大気圧=1気圧ではないのです。
大気圧が101,325Paとは限りません。
真空容器内の圧力が101,325Paを表示してても、真空容器のふたが開かないのは、大気圧が101,325Pa以上になっているからです(そんな日は快晴で良い天気の日です)。